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「飲め、この僕の血を飲むんだ・・・」
私は唇を固く締め、拒絶した。
「飲めば元の君に戻れるんだ。あの高校の教室に戻れるんだ」
元の自分には戻れはしない。もはや知能も感性も何もかも落ちこぼれの女子生徒になってしまったのだ。
なんということだ、教師の唇が私の唇に密着した。無理やり私の唇がこじ開けられるのを逆らうことは出来なかった。
「僕は異星人と化しつつある。僕は地球人として人生を終えたいのだ。地球人としての僕の記憶を忘れないで欲しい。君を愛していたことを」
生暖かい鮮血が私の喉元に流れ落ちていった。一時経ち、疲れ果てたのか、教師は倒れ込んだ。それっきり身動きだにしなくなった。私は恐る恐る教師の体を右足で揺すってみた。だが、動く気配はなかった。
不思議なことに自分が気怠い気分になりつつあるのを感じた。それが妙に心地良く、うとうとして、もう眠気に自分の身を委ねるしかなかった。
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「あんたさあ、こんな時に、よくも寝ていられるわね」
「誰?誰なの?」
目を覚ましたのは、辺りが騒然としている教室だった。
「先生が自殺して心臓が停止しているというのに。あんた、あの先生、好きだったんでしょう。そんな時に普段と変わらず寝ているだなんて、あんたって最低ね、薄情な女ってあんたみたいな気取り女のことを言うのよ」
「そうよ、その通りだわ。佐藤さんさあ、噂で聞いたんだけどさあ、東大を受験するって、それ本当なの?それって私たちへの冷やかしなんでしょう。東大を受験する者がこんな落ちこぼれの高校にいるもんですか。受かりもしない癖に、なによ、変な噂を流さないでよ。まあ、この高校の卒業式ぐらいは出席しな。それが私たちへの仁義というものだわ」
「そうかもね。あんた、早く教壇に行きなよ。頬にキッスでもして上げたらー。自分の口で言うのもなんだけど、こんな阿婆擦れギャルのわたしだってそうしたんだからさあ。くやしいけど、あの先生、あんたに首ったけだったんだって。それに、噂で聞いたんだけどさあ、おんたの家、オオトカゲでも飼っているの?それも黄色と緑色をした肌のトカゲだって。偽物だと思うけど、首にはダイアのネックレスを付けているってさあ。あんたの家を警察が見張っているだなんて尋常ではないわ。キッスが終わったら、さっさっと家に帰りな」
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