怪盗とその後

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「以上より、化学の発展と倫理について議論が巻き起こっており──」  怪盗達はいつものアジトにいた。連日同じニュースで退屈を感じたイレブンはテレビを消す。表向きは改ざんや隠蔽(いんぺい)、生命倫理に反した実験を行ったとして山本は処分を受け現在世間から非難され惚れ薬の開発は停止していた。  イレブンは考える。神無月は否定していたがもし山本の説が正しくトゥエルブが元来暴力的な性格なのであれば、無理に酒を飲んだ様子からして暴力性が彼自身に向いている可能性がある。  トゥエルブから差し出された珈琲を一口飲む。「相変わらず美味しいですね」と返すと彼は嬉しそうに笑う。彼が世界を救えるよう、怪盗として活躍できるよう、ちゃんとサポートしていこう。イレブンはそっと心に誓った。
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