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「毎年1ヶ月間のタメ人生…今年もあっという間に終わった…あ、美味し…」
「うん、美味しい。月乃のお店リサーチ、ハズレたことないね…ぅん…まっ…」
「だね。良かった」
関西出身者が経営するチェーン店でないお好み焼き屋さんで、サイドメニューがメインか!?という口コミ、書き込みの評価が高かった店。
牛ホルモン炒め、じゃがチーズ、砂ずり…などは小ぶりの鉄板のまま、お好み焼きを焼いている鉄板に置かれ、ずっと二人で
「ふぅ~っ…ふっ…ぁっつ…っ…むぅ~んまっ…」
と食べ続ける。
「絶対にホルモンなんて食べそうにない顔で、豪快に口を開けて食べるあや実に癒される…」
「それねぇ…いい加減、なんとかならないのかって思うよね」
「何事も、飛び抜けていればこその弊害ってあるのかもね」
「弊害ね…ホント…このジョッキで飲むビールが美味しくって、このジョッキのまま焼酎だっていけちゃうっていうのに…」
「相手が勝手に“あや実さんがそんな女性だと知らなかった…シャンパングラスが似合うのに…”っていうイメージ違いでフッてくる」
私の言葉を睨んだあや実は、そんな顔をしても美人だ。自他ともに認める容姿端麗さ…それがいつも彼女の恋愛を邪魔する。
イメージ違いもあれば、浮気を疑われたり、並んで歩くことに引け目を感じる男までいる…つまり男の自信を奪ってしまうほどの外見なんだよね。外見を鼻にかけることなく、こんなに飾らない、ハキハキした気持ちのいい女なのにね。
「でもさ、あや実」
「うん?」
「30っていう大台に乗っちゃったから、結婚がぐーんと遠ざかったかもよ?」
「今どき古くさっ…」
「でも…結婚相談所とかの統計で数字が出てるもの」
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