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“検証よ”と言うあたり、全国的な数字を自分が覆す!くらいの勢いだね、あや実。
私はそういう勢いのある彼女が大好きだ。だから
「お姉さん、頑張ってー」
とさらに煽っておく。
「月乃はきれーに、何もかも平均値をなぞってるからね。男からも女からも安心感を得られるのか、めちゃくちゃモテるよね」
「先月、私が自分で言ったセリフだし」
「だからって、結婚相談所で結果を叩き出せるかは不明」
「だね。現に彼氏ナシ」
「私なら、月乃に全力アプローチするけどね。こんなに裏のない人間、かつ、時折お茶目…愛するしかないよね?」
「裏のないのはあや実も同じ」
「フフッ…二人揃ったら裏向いたりするんだけどね」
「そこがやめられない」
「うん。結婚の条件は“親友の月乃と会う機会を制限しない男”」
「何だか、あや実の勝負の相手が私なのか疑問になってくるわ…もはや男への挑戦状にも聞こえる」
コクコクッ…と焼酎を飲み、パクパクッ…とキノコをつまんだ彼女は
「どちらにしても、イベント到来よ」
とお好み焼き屋さんには似合わない笑みを浮かべる。これこそ、彼女が男を引かせるほどの、レフ板があるかのような笑みなんだよね。文句なしに美しい。
食事に満足してくれたあや実と一緒に店を出て駅へ向かうと
「ねぇ」
「こんばんは」
二人の男が声を掛けてきた。
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