十二.

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十二.

「なら、あと一つだけ、確かめようか」 何でも納得の行く実験をしたくなるのは、僕の性分(しょうぶん)だ。 「何?」 「卒園の時、園庭にタイムカプセル埋めたじゃん」 「あぁ、埋めたよね。 でも『二十年後に掘り返す』って前にカフェになっちゃったから……さすがにどこに埋めたのか、まだあるのか、当時と違いすぎてわかんないよ」 城崎が肩をすくめて辺りを見回した。 「でもさ、よく見たら、この建物も幼稚園をリノベーションしただけっぽいし、駐車場もアスファルトで固めずに砂利(じゃり)()いてあるだけだから、実はそんなに掘り返して土を入れ替えしたりとかはしてないのかもよ? だから運試し、運命試しに、これ、二人で後ろ向きに投げて、落ちた所を掘ってみるのとかどう? ちょうど他に誰もいないし」 彼女が卒業アルバムを持って来たのと同様、僕も幼稚園時代のスケッチブックを実家から持って来ていた。 その中から、二人で描いた『あのねこ』のページを一枚破り、足元の小石を詰めて丸める。 「あぁ! いいの? そんなことして!」 「ま、いいからいいから。 捨てるわけじゃ無いんだし。 じゃ、行くよ」 立ち上がり、二人並んで駐車場を背にすると、僕は城崎の右手を取って自分の左手に重ね、一緒に紙の玉をそっと握った。 「せぇの!」 紙玉は勢いよく僕らの頭上を超えて宙を舞い、振り返ると、駐車場の(はし)の方へと落ちて転がるのが見えた。 駆け寄ってそれぞれに足元の手頃な石を選び、紙玉の下を掘り返し始める。 と、やがてふいに固い金属音が響き、大きなアルミの缶が現れた。
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