13人が本棚に入れています
本棚に追加
五.
僕は趣味の延長で、ネットにフリー素材のイラストを上げている。
この子供の落描き風の『あのねこ』はその一つであり、僕のネット上でのアイコンでもある。
「あぁ、これ、かわいいよね」
「あ、うん、ありがとう……」
「『ありがとう』?」
首を傾げるkinoに、
「あ、いや、その絵、僕の描いたやつで……って、あれ?」
彼女が示す画面のネコに違和感を覚えた。
なんだか拙い。
これはフリー素材に上げているものでは無い気がする。
とすると、
「これ、君が描いたの?」
彼女が真似して描いたのかと思って尋ねてみた。
が、彼女はふっと複雑な笑みを吹いて飛ばすと、
「正確には、あたし『も』一緒に描いた絵だよ。
忘れたの?
ユッキ」
「え?」
『ユッキ』は、幼稚園時代にだけ呼ばれていた、僕のあだ名だった。
最初のコメントを投稿しよう!