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夜もふける程に語らった。と言ってもお互いの身の上について詳しく話したわけじゃない。
互いに譲れぬ心の線引があり、踏み越えないように、傍から見ればつまらない語らいだっだだろう。
だが、有意義な時間だった。彼という人が少しばかり見えた。
今だ素性の見えないウイル様だが、その人柄が垣間見えたのだ。
この御方の幼少の出来事、学び舎での日々、飼っていたネズミの珍事まで。
話の上手な方では無いのだろう、順序よくという訳では無かったが伝わる物があった。
恐ろしく美麗なお姿も、今は霞んで親しく感じる。
……時間だ。
「夜も更けて参りました、今夜はお休みになりましょう」
「ああそうだな。女性を遅くまで無理に付き合わせるとは情けない限りだ。
反省だな」
「役目に従ったまでの事、お気になさらず」
「今度はそのような言葉を聞かないよう努力しよう」
私達はそれぞれの部屋へと戻って行く。
とはいえ狭い屋敷だ。性別を考慮して三つある部屋の端同士に自室を持った。
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