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第4話(BL特有シーン・回避可)
清潔感のある香りが霧島の欲望を却って浮き彫りにして京哉は吐息を速くした。
「すごくいい香り……あっ、ああ、っん!」
その場で唇を奪われる。絶妙なテクニックで熱い舌が蠢き歯列を割って侵入してきた。口内を舐め回され、舌を絡め取られて唾液と共に吸い上げられて痛みが走る。
「んっ、んんぅ……っん、はぁん」
キスだけで京哉は甘く鳴いてしまい、ふらついて一歩、二歩と下がりテーブルに退路を断たれた。その時には既に霧島は手を伸ばして京哉の上衣のボタンを素早く外し片手で白い腹から胸を愛撫していた。その手つきの激しさに京哉は眩暈を覚える。
露わにされた肌は白く、両胸の小さな尖りだけ薄赤く花が咲いたようだった。
目を眇めて暫しそれを眺めた霧島は胸にしゃぶりつきたいのを我慢し、長身を屈ませて京哉の薄い肩に顔を埋めた。そこから鎖骨へ、鎖骨から華奢な首筋へと唇を滑らせながら舌を濃厚に這わせる。鎖骨の辺りを何度も唇で挟んで吸い上げ、自分の証しを赤く濃く刻み込んだ。
本当は小柄な全身に己の痕を付けてやりたいくらいだった。
抑え切れない想いから白く華奢な躰をまさぐる。切実な手つきに京哉が焦った。
「えっ、ちょっ、嘘……忍さん、ここで?」
「ああ、今すぐここでだ。もう我慢ができん」
「あっふ、そんな……ここでなんて、ああんっ」
低く甘い声で耳元に囁かれ、京哉はぞくりと身を震わせる。ここはダイニングキッチンで横になることもできない。
テーブルに退路を断たれたままの京哉は這い上がる霧島の唇に首筋まで吸われた。衣服を身に着けても見えそうな処にまで所有印を穿たれて、京哉は白い喉を仰け反らせて喘ぎを洩らす。
これ以上はだめだ、止めなければ……京哉がそう思うことばかり霧島は仕掛けてくる。京哉は精神的に追い詰められながらも止めることはできない。お蔭で京哉の甘い抵抗は嗜虐的な霧島の征服欲を京哉は煽り立てる結果となっていた。
やや荒っぽく肌に触れる霧島の手が熱い。胸の尖りを摘まれて躰が跳ねた。緩く擦られて快感が湧ききつく押し込まれて思わず疼きに吐息が洩れる。耳元に吐息が掛かるほど近くにいるのに霧島が恋しくなり京哉は夢中でバスローブの胸元をはだけた。
現れた滑らかな象牙色の肌を撫で上げる。引き締まった腹から逞しい胸を辿った。
「忍さん、綺麗……美術館に飾っておきたいくらい」
「私などより京哉、お前の方が綺麗だぞ?」
言いつつ霧島は妖しいような色気を放つ京哉の白い喉を甘噛みする。そうしながら京哉の脚に身を割り込ませて腿を擦りつけ、甘く痛むくらい刺激した。
薄い布地越しに二人とも躰の中心を勃ち上がらせているのが分かる。だがそんな刺激だけでは物足りなくなり、京哉は自分からも身を揺らめかせた。
堪らなく霧島が恋しくて恋しくて、もう我慢できそうになかった。
「あっ、ん、忍さん、愛してる……はぅん」
「私も京哉、お前を愛しているぞ、こんなにな」
もう霧島は羽織ったバスローブの前を持ち上げる勢いだ。それを京哉の腹に押し当てながら見下ろす。その灰色の目には溢れそうなほど情欲が湛えられ、だが年上の男の余裕で吐息を浅く速くした京哉を微笑み見つめている。簡単に京哉は堕ちた。
「忍さん……もう、っん……下さい、欲しいよ!」
黒い瞳を潤ませた京哉がごくストレートにせがみ、笑みを深くした霧島は京哉の下衣を下着ごと膝下まで引き下ろした。露わになったそこは成長しきって既に先端は蜜が滴りそうに濡れそぼっている。自分から乞いながら京哉は羞恥に頬を染めた。
そんな反応が年上の男としての霧島の征服欲を煽ってゆく。
「こんなに私が欲しかったのか」
「だって、あっ、や……あぅん……そんなにしないで下さい、いっちゃう」
見られているだけでも感じてしまうのに掴まれ軽く扱かれて京哉は躰を震わせ悶えた。だがここでも霧島は絶妙なテクニックで京哉を悶えさせては逸らす。
「大丈夫だ、いかせはしない。私も一緒にいきたいからな」
余裕の笑みのまま、霧島は自分の右手を京哉に差し出した。期待を込めてその長い指を京哉は口に含み、たっぷりの唾液で濡らす。欲しくて堪らず疼く躰を引き寄せられ、細い腰に左腕を巻かれた。霧島の右手が京哉の背後からそこを探り当てる。
「指、入れるぞ……ほら、奥までいくか?」
「んっ……忍さん、あっ、あっ……はぅん!」
硬い蕾をこじ開けるようにして指が挿入された。京哉は抑えることもできずに甘い声のトーンを上げる。霧島は構わず届く限りの奥にまで指を侵入させ内襞を掻いた。
鳥肌の立つような快感が湧き京哉は立っているのもやっとの状態になる。霧島の逞しい躰に縋りついて我が身を支えた。馴らされつつ粘膜を刺激される。
口からは勝手に高い喘ぎが洩れ続け淫らに乞うては腰を揺らめかせた。
「ああん、そこ、いい……もっと、もっと擦って!」
「こら、あまり動くな。傷つけたくない」
「はあっ……傷つけて、いいから……や、あん、もっと!」
「煽るな、京哉。目茶苦茶に刻み込みたいのをどれだけ我慢していると思っている」
だが立たされたまま、それもキッチンで霧島を受け入れる準備をさせられているという状況が京哉をいつになく敏感にさせている。霧島の長い指を閉じ込め、根元をきつく締めつけてしまっていた。全くコントロールできず、快感に涙すら浮かべる。
そんな京哉の腰に回した左腕で霧島はあやすように肌を撫でた。そうしながら食い込ませた指の根元できつく締まった窄まりをほぐしてゆく。深爪し整えた指を徐々に増やした。こうして中を濡らし入り口も馴らしておかないと怪我をさせてしまう。
体格があまりにも違うというだけではなく、霧島が少々規格外なのだが何の隔てもなく馴らした京哉の躰は人工物を拒否する傾向があった。
そういう風に霧島が覚えさせてしまったのもあるが、特別任務で拉致された折に惨いことをされたのも関係なくはないだろう。
お蔭で準備に時間は掛かるが互いに期待を煽る時でもあった。
本当なら感染症防止などの観点から良くはないと分かっているが、通常の夫婦と同じく決まったパートナーだからと心で言い訳し、霧島は京哉に甘えているのだ。
とにかく甘く高い京哉の鳴き声が追い詰める。
「忍さん、はぁん……もう、いいから入れて……あぅん!」
「まだだ、もう少しだけ待て」
冷静に言い聞かせながらも霧島にも見せかけほど余裕がある訳ではない。本当はすぐにでも華奢な躰に突き立て貫き、征服してしまいたかった。だが何より大切な京哉に怪我をさせられない。慎重に、だが可能な限り性急に指を増やして馴らしてゆく。
やがて京哉の粘膜がぬるむと霧島は咥え込ませた数指をバラバラに動かして嬲る。
「ああんっ……そんな、忍さん、はぅんっ!」
悶える京哉は堪らなく美しく、堕ちてきた月読の神のようである。みずみずしい華奢な肢体にノーブルな顔立ち。そんな京哉を更に堕とし汚してやりたい欲望と、傷つけたくない思いとの狭間で霧島の心は揺れる。
立っているのもつらそうな京哉をテーブルの方に向かせ、手を付かせて霧島は床に膝を付くと京哉の敏感な処を観察する。この自分の数指を咥え込んで濡れそぼっていた。
僅かに捩ってやるたびに細い腰が前後する。もう京哉の体内は濡れ切り、指を押し込み引き出す時には、いやらしい水音がした。
こうして嬲っているだけでも達しそうな淫ら極まりない光景だった。
「もう、忍さん、いいから……入れて下さい」
「あと少し、もう少しだけ待て。しっかり広げんと……今日の私は特に危ない」
「大丈夫だから……忍さん、もう僕、こんなに欲しくて――」
目にいっぱいの涙を溜めながら京哉は淫らな悪戯を何度も仕掛けて誘う。幾度も指を締めつけられ霧島は全ての指を抜いた。とてもではないが既に我慢も限界だった。
もどかしく霧島はバスローブの前をはだけ熱いものを露出する。自分の肩越しに霧島を確かめた京哉が息を呑む音がした。霧島自身どうかと思う存在感だ。
「嘘……忍さん、すご、い――」
「こんなでも欲しいのか?」
頷いて見せながらも京哉は今日に限って本当に可能なのか心配になった。そんなものを霧島は下腹に揺れないほど張り詰めさせている。今から自分がこれを受け入れるとは、にわかに信じられないほどの圧倒的な光景だった。
それでも欲しい想いは変わらず、促されるまま後ろを向いてテーブルに手をつき、身を支えて肩越しに振り返る。黒い瞳に潤みと情欲とを溢れそうに湛え、霧島の灰色の目を見上げて頷いた。
「お願い、忍さん……して。入れて……僕に下さい」
「ああ、もう我慢ができん。私を入れてくれ」
甘くせがんで悶える細い腰を片腕でしっかり抱き、片手を己のものに添えて馴らしたそこにあてがった。蜜を塗り込めるように動かしたのち、じわりと食い込ませる。
途端に京哉の呼吸が不規則になった。こんなもので貫かれるのは苦しく痛いに決まっている。それでも京哉が浅く息を吐いた瞬間を逃さなかった。
狭いそこに霧島は突き入れる。熱い粘膜が迎えて包み、きつく絡みついた。
「はぁん、あっ、ああっ……あああっ! きつい、あぅんっ!」
「うっく、京哉……きつい……すまん、京哉」
一瞬で放出してしまいそうな昂ぶりを霧島は何とかやり過ごす。ひとつになったままで二人は暫し息を詰めていた。霧島はきつく締めつけられ、京哉は指とは比べものにならないものを受け入れて、動くに動けなかったのだ。
「頼む、京哉……少し、力を、抜いてくれ」
「無理です……いいから、動いて……僕を、貴方の形にして!」
その言葉は霧島の思考を白熱させた。傷つけないギリギリの激しさで強引に腰を引き、突き入れ始める。己のものを引き出し離れてしまう寸前で、まさに細い躰を引き裂くように突き上げ貫いた。眩暈のような快感が湧く。
細い腰を引き寄せて霧島は夢中で京哉に突き立てた。存分にスライドし反り返った先で掻き混ぜだす。容赦なく貫いて内襞を掻き混ぜては二人分の快感を生み出した。
「忍さん、すごいよ……ああんっ!」
「京哉、まだ、きつい……すごくいい、堪らない!」
「忍さんでいっぱい、中が、熱いよ……あうんっ!」
初めから激しく攻め立てられ熱いもので思い切り擦り立てられて、京哉は叫ぶように淫らな喘ぎを洩らしていた。充血した粘膜は霧島の形をくっきりと伝えている。そこから与えられる震えるような鋭い快感が京哉を完全に酔わせていた。
気の遠くなるような攻めに絶え間なく喘ぎながら思う、霧島以外に自分をここまで酔わせる者など二度と現れないだろうと。二人で生きてゆく以外考えられなかった。
「だめ、忍さん……怖い! や、あん!」
「何が怖い、どうした?」
「愛しすぎて、怖いよ! だめ、もう……いきそう!」
「怖がることはない……私も、一緒に、いかせてくれ!」
熱い京哉のものに霧島は手を伸ばして握り込んだ。叩きつけるような腰の律動に合わせて強く扱く。キッチンに喘ぎと荒い息づかい、粘膜の立てる淫らな水音が充満していた。互いの手と体内でタイミングを知る。
「忍さん、や、いく、いっちゃう……あっ、はうっ!」
「うっ、く……京哉……くっ!」
たっぷりと熱く濃いものを霧島に注ぎ込まれるのを感じながら、京哉は霧島の手の中で幾度も弾けさせていた。途端に膝が萎えて京哉はずるずるとその場に座り込んでしまう。
気が遠くなるような脱力感に襲われ、ぺたりと座ったまま霧島を見上げた。霧島がしゃがむ。そうして溢れ出していた京哉の涙を舐め取ってくれた。
「大丈夫か、京哉?」
「僕は……でも忍さん、貴方はまだ大丈夫じゃないみたい」
一度放出してなお霧島は滾らせたままだ、いつものことだが。また苦しい思いをさせると思うと可哀想だが狂おしいほど京哉が欲しくて堪らない。それなら苦しさ以上の快感を与えてやればいい。そう思い霧島は京哉に手を伸ばす。
その京哉は床に這い何もかも全てが露わな煽情的な姿態を取り霧島を誘った。
「いいですから、好きなだけして、大丈夫。入れてみて下さい」
「京哉……くっ、すまん!」
白い躰に溺れきった霧島は誘われるままに細い腰を掴むと、たった今自分が放ったばかりの欲望が溢れ出しているそこに、捩じ込むように突き立てる。きつく巻きつき締めつけるそこを縦に横にと掻き回した。飽くことなく京哉を揺らし喘がせ続ける。
月読の神のような気高い身を這わせ、自分を受け入れさせている事実が霧島の征服欲を満たす。一方の京哉も自分に夢中にさせることで霧島を独占しようとしていた。
激しいスライドに合わせて京哉も細い腰を淫らに前後させる。そのたびに窄まりがきつく締まって霧島は呻きを洩らした。
白い内腿を伝い零れる生温かいその感触ですら京哉は愛しく感じた。
より深く届いた霧島は容赦なく粘膜をいっぱいにして擦り立てる。やがては本気で京哉を思い切り満たしたくなり奥へ奥へと捩り込んだ。反射的に這い逃げようとする京哉の細い腰を掴んで離さず押し込み、これ以上は無理な京哉の最奥まで収め切る。
ここまで許され受け入れられる。その事実が霧島を心の底から安堵させた。再度スライドされて苦しさから急激な快感に投げ込まれ、京哉は追い詰められる。
「忍さん、もう……いきたい、ああんっ……だめ、いくいく!」
「分かった、私もお前と、いくぞ!」
「お願い、早くきて……忍さん!」
握り込んだ熱い京哉を霧島が扱く。前後を激しく攻められて京哉が疼きに悶えた。呼吸すら忘れそうな快感の中で欲望を解放する。躰を震わせて放ったものを霧島は手で受け止めてくれた。
同時に霧島も二度目とは思えないほど、京哉の体内をずぶ濡れにしている。動かずとも京哉が閉じ込めきれず大量に溢れ出てきた。
その感触を覚えたのを最後に京哉は床に横になってしまう。
気付いた霧島が慌てて抱き上げたが急激に眠りに入ったのか、それともまたもや気絶させてしまったのか、ともかく意識がなかった。
意識がなくなる寸前まで思い切り突き、自分の上に座らせ真下から攻めたりもしたのだ。調子に乗りすぎた己を霧島は反省する。
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