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最初は、みんなが同情してくれた。
唯一の犠牲者となった兄と、その弟である俺に、何度も言葉をかけてくれた。
可哀想に。
可哀想に。
お兄ちゃんと離れ離れなんて。
あんなに仲が良かったのに。
いつも二人で遊んでいたのに。
なんで子供を置いていった。
可哀想に。
親は何をしていた。
監督不行き届きだ。
許せない。
子供をなんだと思っている。
百貨店は、町長は何か謝罪をしたのか。補償はしたのか。
何か言ったらどうなんだ。
許せない。
許せない。
許せない。
すぐに、みんな俺を見なくなった。
百貨店側から貰ったお金を使って、縁もゆかりもない片田舎へ引っ越した。
何処へ行っても、両親の喧嘩は止まらなかった。なのに結局、最後まで離婚はしなかった。
俺を避ける目は無くなったが、結局誰も、俺のところには来てくれない。
俺が家から出なくなっても、誰も、気にもとめなかった。
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