良薬と覚悟

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 僕は親友の田中に呼び出されて理科室に行った。理科室の扉を開けると田中が椅子から立ち上がり笑顔を向けてくれた。 「来てくれてありがとう」 「理科室に呼び出してどうするつもりなんだよ?」  田中は悪い顔を浮かべながら黒い液体が入ったフラスコを差し出した。 「どうしてもおまえにこれを飲ませたくて」 「このコーヒーみたいな真っ黒な液体を?」 「ちょっと苦いけど、良薬は口に苦しって言うだろ」 「この薬、田中が作ったの?」  田中は背筋を伸ばして胸を張って応えた。 「おう。俺が寝る間も惜しんで作り上げた傑作だ」 「この薬の効果は何なの?」  田中が急に後ろを向いて小声になった。 「飲めばわかるから。大丈夫だから」  田中の行動がどう考えてもおかしい。何か隠してるに違いない。 「そういえば、田中。橋咲美樹さんのことをどう思ってる?」 「急にどうしたんだよ。何の話なんだ」 「いや、田中が橋咲さんを見る目が惚れてる目だなって思っていたから」  田中がパンと机を叩いて大声を出した。 「そんなことは絶対にない! それに橋咲さんには好きな人がいるらしい」 「へーそうなんだ。誰のことか知ってるの?」 「おまえだよ、滝本」 「えっ?!」
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