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「今日はやむなくね。普段は会社員なんだ。秀太はちょっと面倒なやつだけど、慣れれば面白いから、きっと気に入ってくれると思うよ」
志信さんと小説的な出会い方をして、ほんの少し何か起こるのではと期待した自分が恥ずかしい。
「はい、近くなのでまた寄ってみます」
「うん、ぜひ。すみません、呼ばれたので」
「あ、はい」
午後二時を過ぎ、涼を求めた客が次々にベルを鳴らした。すっかり長居をしてしまったと、重い腰を上げる。
「ありがとうございました」
良く通る志信の声を背に、蒸し暑い外へ出た。まるで別世界に行っていたみたいで、頭がぼうっとした。
その夜、小説投稿サイトに白田コンからフォローされたという通知が来た。義理堅いことである。その途端、ぽつぽつと自分の小説を読んでくれる読者が現れるようになった。白田コンのネームバリューの凄さを感じた瞬間だった。それに、白田コンとの奇跡みたいな出会いをじわじわと実感し始めていた。まさか、同じ町内に住んでいるなどと思いもよらなかった。
「あっ、いいねがついた」
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