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少々複雑ではあったが、きっかけがどうであれ、読まれることは素直に嬉しかった。不思議と、一つ二つとアイディアが浮かび、慌ててノートに書き込んだ。
「志信さん、いい人だったな」
穏やかで、理知的な雰囲気の志信にまたいつか会えたらと、そんな妄想をして打ち消した。私の身にこれ以上のドラマが起きるわけがない。
「もう一人の白田コンか……」
秀太のことが気にならないといえば嘘になる。
「面倒なやつって、どんな人なんだろう」
理論的でクールな生徒会長タイプ、それとも熱いスポーツマンタイプだろうか、と頭の中で様々な姿の秀太が浮かんでは消えた。
「はしゃぐな、私」
目を瞑ってもしばらく眠れなかった。
後日、もう一度フルールに出向いていた。やはり好奇心には勝てなかった。
「いらっしゃいませ」
「ーーこんにちは」
店長が私の姿を認めて、隣で作業する金髪の店員に声をかけた。顔を上げた彼は、想像以上に若く、私を見つめる表情は迷惑顔そのものだった。想像したどの秀太にも当てはまらない。カフェに来たことをすでに後悔し始めていた。
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