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「俺、小説のアイディアには自信があるんだ。兄ちゃんは、ホラーとかオカルトとか苦手で、俺が出したアイディアをすぐ却下したがるけど、出来上がったらちゃんと面白いんだ」
志信が人が死ぬ話は好きじゃないと言ったことを思い出す。二人のやり取りを想像すると微笑ましく、思わず笑ってしまう。
「子供みたいだろ?」
「ーー白田コンのホラー小説、怖いだけじゃなくてキャラクターが生き生きしていて面白いよ」
「本当?」
ほっとした様に笑う秀太も、いつも自信満々でというわけではないらしい。
「そんな風に笑っていた方が可愛いよ」
「あ?」
秀太は一瞬で仏頂面に戻ってしまった。
「アイス溶けるから早く飲めよ」
「うん」
マルチな才能の白田コンの一人が、こんなに可愛らしい青年だと知って得した気分だった。
「あのさ、ちょっと聞きたいことあるんだけど」
「え? なに?」
「今度、大学生が主役のミステリー小説を書きたいんだけど、色々聞きたいからメッセージ送っていい?」
照れ隠しなのか、さらに仏頂面に磨きがかかっている。
「もちろん。私でお役に立てればいいのだけど」
「うん。じゃ、そういうことで」
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