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「きゃああーー!」
わたしはオオカミ達の群れの中に飛びこんでいった。
ふわふわの毛がクッションの役割を果たしてくれたのか、龍戒石がなんらかの力をはっきしてくれたのか。
落下の衝撃はそれほど感じず、わたしは無事に地上に降り立つことができた。
「ありがと!助かった!」
わぷ!口の中に毛が入ったー!
わたしはオオカミの群れにお礼を言うと、地面に倒れているカケルの元に走った。
「カケル!しっかりして!」
カケルはヒトの姿に戻っていた。
「う……」
カケルの口からうなり声が聞こえて、ようやくほっと胸をなでおろす。
よかった……。意識はあるみたい。
しかし、安心している場合じゃない。
「どうしよう……」
山を覆っていた木々は二人が争っていた場所を中心として、らせん状に大きくなぎ倒されている。
遠くから消防車のサイレンの音まで聞こえてくる。
とんでもない騒ぎになってしまった。
「噂には聞いていたけど、龍戒石の力はすごいな」
いつの間にか起き上がっていたコテツくんは、感心したようにわたしの龍戒石を見つめていた。
わたしのゲキリンはカケルだけでなく、コテツくんをも貫いた。
コテツくんもヒトの姿に戻っていた。
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