1.わたしの普通じゃない学校生活

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1.わたしの普通じゃない学校生活

 ――図書室って本当に最高だ。  わたしはたくさんの本に囲まれたうるわしい空間で深く息を吸った。  湿り気を帯びた独特の本の匂い。  日常から切り離された心地よい静けさ。  そよ風でゆらりと揺れるカーテン。  ピシッと整列された百科事典の棚なんて、キレイすぎてピカピカとまぶしく光っている。  この学校に図書委員はわたしひとりきり。  広くて蔵書も豊富なのに、校舎の奥まった一角にあるせいで、放課後でも生徒はめったにやってこない。  つまり、本好きには天国ってこと!  わたし――池脇ミコト(いけわきみこと)は、貸し出しカウンターに座り、ひとりきりの読書タイムを思う存分、楽しんでいた。  うー!やっぱり面白い!  興奮でジタバタと床を踏み鳴らす。  ひざの上には今朝入庫されたばかりの「魔女先生とお付きの騎士」というファンタジー小説。  図書室に入庫されるのを今か今かと首をながーくして待ち望んでいた一冊。  ちょっとだけ……本当にちょっとだけ……!  最初は試し読みだけのつもりだったのに、今やすっかり物語の中にのめりこんでいる。  ――これだから読書はやめられない。
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