18人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ、明日からは学校にくる?」
「うん、もちろん。心配してくれてありがとうな」
って輝希がおれを見てから浜辺を見て、お礼を言ってくれた。
けど、浜辺を見た輝希が固まってしまった。
どうした?とおれも浜辺をのぞくと、浜辺がめちゃくちゃ泣いていた。
メガネの下からポタポタ涙が流れている。
たしかに輝希の話は感動したよ。
でも、それって号泣ってやつだろう。
浜辺って感動屋さんなんだな。
また一個、おれだけの情報が収集できた。
なーんて能天気にしていたら、輝希がポケットからティッシュをとりだした。
「浜辺。これ使って。良希がよく鼻垂れるからいつも持参してるんだ」
「…ありがとう」
と浜辺はティッシュを受け取り、涙をふくためにメガネを外した。
再びおれは、浜辺瑠璃の子鹿のような可愛らしい素顔を見て、やっぱり心臓がドッキンドッキンと大きく打ってしまった。
ううっ、やっぱり可愛い…
ぱっと赤くなった頬を見られないように、目線を輝希にずらした。
と、そしたら!!
同じく、目を見開き頬をそめた輝希がいるじゃないかっ!
うわっ浜辺の真正面から素顔をみちゃってるしっ!
「これは、やばいっ!」
って思わず心の声が漏れてしまった。
メガネをかけ直した浜辺が
「なにが、やばいの?」
と聞いてくる。
「な、なんでもないっ」
って言うしかないだろう?
輝希はまだぽーっと浜辺をみているし。
メガネを外したら美少女、こんな漫画みたいなやつ、他にいないよ。
なんで自覚がないんだよ。
マジで浜辺は天然記念物だ。
やだな、絶対に輝希も浜辺のこと、気になってるよな…。
まだ、目をぱちくりさせて見ているよ…。
とりあえず今日は、退散しようっ。
「よしっ、そろそろ帰るか。輝希、明日は学校に来れるもんな?」
おれは輝希の肩に手を置いて、わざとらしく確認した。
輝希が我に返って、ようやくおれを見てくれた。
「う、うん。明日からは行くよ」
想定外の浜辺の素顔ひろうはあったけど、輝希のお休み問題は解決だな。
最初のコメントを投稿しよう!