For my soulmate 〜同じ魂を持つ君へ~

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「飛び降りる前に女の子とぶつかったろ。その子が怪我ないか心配して、手当てまでしてあげてた。なんて優しい奴だと思ったよ。死のうと思ってても、最期まで誰かのために動ける。こんないい奴が死ぬなんておかしい!」  ヴィントが拳を床に叩きつけ、食器がガチャンと鳴る。僕と同じ顔が悲痛に歪み、今にも泣き出しそうだ。 「さっきもそうだ。俺が苦しそうだからやめろって、死ぬほど怯えてたくせに何でそんな言葉が出てくるんだ! お前……お前、優しいよ。俺には釣り合わないよ……。ごめんな、こんな奴が魂の共有者で。こんな、血みどろに、汚れきった……」 「ヴィント」  落ち着けるようにヴィントの手を取る。危なくないように食器は脇によけた。 「優しいのはヴィントの方だよ。優しくなかったら誰が道連れになるかなんて気にしない。どんなに辛くても、死んだ人を背負って生きてるって凄い。僕だったらとっくに壊れてる」 「風太……」 「それに、国の人達を守るために戦ってるんだよね? 強くなきゃ出来ないことだよ。尊敬する。僕はヴィントが魂の共有者で嬉しい。むしろこんな僕が相手でいいのかって思うほどで……」 「そんな風に自分を悪く言うな! お前はすげぇ奴だ、なんでわからない? 俺がこんなに好きだと思った風太が、どうして自分を好きになってくれない!?」  感情が高ぶり、ヴィントは僕の両肩を揺さぶった。鼻の頭が赤い。もう殆ど泣いてるんだ。 「死ぬなんて言うなよ……。生きてくれよ、風太……」 「……それ、そっくりそのままヴィントに返したい。こんなかっこいい人が死ぬなんて間違ってる。ヴィントには平和な時代で、美味しい物食べて幸せになってほしい。僕もヴィントのことが好きだって思うから」  顔を上げて、袖口で目を強くこする。 「いいのか? 俺、生きてて」 「うん。当たり前だよ」 「そっか……。風太の言葉なら信じられる気がする。俺は生きても……」  きっと魂を共有した僕達は根っこの部分は同じなんだ。自分のことは嫌いで仕方ないのに、僕達は互いに生きててほしいと思ってる。でも、ヴィントが好きって言ってくれた僕を少しは好きになってみたい。僕もそう思うから―― 「ねぇ、ヴィントって記憶を消すことは出来る?」 「出来るけど。トラウマ治療で使うし」 「だったらお願いがあるんだ」
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