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翌日、僕は体育館にいち早く来てシュートの練習をしていた。そこへヴィントが壁をすり抜けて入ってくる。今日は自分に透明の魔法をかけて学校に来てた。
「言われた通り、鳴川達の昨日の記憶を消してきたけど、本当にいいの? またパシられるかもしれないぞ」
「大丈夫。これは自分で決着をつけたいんだ。ヴィントと同じ魂を持ってるなら、きっと乗り越えられる」
「決意は固いか。わかった。頑張れ」
体育館のドアが開き、鳴川先輩と部員達が入ってくる。先輩は僕がボールを持ってることに気づくなり、凄い剣幕で寄ってきた。
「てめぇ、誰の許可でボールに触ってる!?」
「ぼ、僕だって、部員なんです。ボールに触るのは、普通です」
「補欠はアシストしてればいいんだよ! 飲み物買ってこい。人数分な」
ああ、怖い……足が震える……。でもヴィントはもっと怖いものに立ち向かってるんだ。拳を強く握り、大きな声で言う。
「お断り、します! 自分の物くらい自分で買えばいい!」
「なんだと!」
「どうしてもって言うなら、僕と1on1で勝負してください! 先に三点取った方が勝ち。僕が負けたら、指示通り飲み物を買ってきます」
「勝手に決めんな! くだらねぇ。いいから早く行け! でなきゃ痛い目……」
「やらないんですか? 僕に勝てる自信がないんですね」
先輩が僕を突き飛ばし、ボールを奪う。怒ったヴィントが魔法を放ちそうだったのを、首を振って止める。僕が立ち上がると、先輩は舌打ちしてボールを床に強く打ちつけた。
「バカが。俺が負けるわけねーだろ! おい、ボード持ってこい! 始めんぞ!」
乗ってきた! もう後には引けない!
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