栄光のカダフォール

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 遥か昔、世界は真っ暗だった。その完全な無は、人に孫が生まれ、その孫の孫の代になるよりも長く、永久と思われるほどだった。しかしその闇が取り払われるのには、一瞬しかかからなかった。虚空に閃光が走り、眩い光のあふれる球が現れた。この世界と、神の国カダフォールをつなぐ門。カダフォールから射したやわらかな光は、暗澹たる無を照らし、そこに水が満ちた。この神の国へと繋がる戸は月と名付けられ、水は海と呼ばれた。この頃に太陽はなく、月が大地を照らす時間を昼と呼んだ。今よりも少し月は大きく、空に昇るごとに形を変えることはなかった。  間もなく、カダフォールから輝く霧が流れ出た。カダフォールの空気。意志を持ち、自在に動くそれらは、精霊といわれた。精霊は月光に満ちた海へ、そして闇に包まれたままの空へと散った。しかし精霊はあたりに漂ったまま、冬の星のように瞬くことしかできなかった。
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