栄光のカダフォール

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 男神はそれらが待つ場所として、陸地に山を築いた。陸に宿った精霊に、それぞれ1つずつである。そうして土地の精霊は、生命を見守ることもするようになった。またどの精霊も、自分が変えるべき故郷として山を持つようになったのだ。だから天の精霊はそこへ集められたが、応じないものも多かった。そんなものたちは、今でも夜空に輝いているのが見えるだろう。神はその意に従わないものたちを星と名付け、その誕生すらも祝った。  神々は完成した世界を眺め、満足そうに微笑んだ。そして月からカダフォールへと帰り、その戸を閉じた。神が休む間に、原始の虚空が神の国に入り、蝕まないようにである。しかしそれによって、世界に冥闇が訪れた。世界で初めての夜である。  星々が山河に現れ、万物を堕落へと誘う。植物は毒を持ち、動物を飢えさせた。食料になる代わりに与えられた、再生するという特権などよりも、再生する必要がないほうがいいと思ったからだ。動物たちは仲間を殺し、その肉を喰らった。川は血に染まり、植物は踏みつぶされた。  こうして初めての夜は更け、やがて朝を迎えた。しかし今よりも夜は長く、月がのぼるころにはあたりが死に包まれていた。
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