栄光のカダフォール

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 月の戸を開いた神々は変わり果てた世界に驚いたが、失望はしなかった。月光に照らされて、生物は次々と再生していったからだ。このころは、月が大地に近かった。だから今よりも、その力が強くあらわれていたのだ。そして植物は毒を捨て、動物は必要以上に獲物を殺さなくなった。その様子を見まわるため、神は月をゆっくりと巡らせた。一通り眺めた後、神は西の空で人間をつくることを決意した。星々に生物が貶められることがないように見守る、意志の強い神の似姿として。女神がその姿をつくると、山から幾条もの光が流れた。精霊が宿ると、人々は神にひれ伏し、その役に立つようにすると誓った。神は安心し、またカダフォールの戸を閉ざして眠りについた。月が沈んで闇黒が広がると、星が陸に降った。しかし人間は、自らを第一とすることを進める星を無視した。多くの動物もそれに倣い、再生する食べることを許された植物を食べた。そしておだやかな闇に包まれて眠りに落ちた。
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