僕たちのウエディングベル

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二人を連れて教会の中へ入るとステンドグラスから煌めく光が差し込んでいた。 教会へ来た意味が分からない碧は始めての教会に視線を彷徨わせ、並んだ椅子に座った。 亜蓮は碧の横に腰掛ける、神父が二人の前に現れて優しい声で告げた。 「碧さん、亜蓮さん、本日はおめでとうございます。皆様の着替えをご用意しております、こちらへどうぞ」 驚いた顔の碧が京輔を見た。 「京輔、どうゆう事?」 「さぁ、行ってみよう」 4人はそろって祭壇の裏へ案内された。 そこに用意されていたのは2着の白いタキシードと黒のタキシードだった。 碧と亜蓮は言われるまま白い方を身に着ける、京輔と遼太郎は黒のタキシードに袖を通した。 胸には黄色いミモザの花が飾られた。 碧は京輔と腕を組み、亜蓮は遼太郎と腕を組んだ。 教会の外には赤と黄の薔薇のアーチ、そのアーチをくぐると正面には神父と見届け人。 黒いスリーピースに身を包んだ莉空(りく)未住帆(みずほ)がにこやかに立っていた。 4人は並んで祭壇の前に進んだ、碧の眼に涙が溢れ亜蓮の眼も赤く潤んでいた。 京輔を見る碧の顔が夕陽に紅く染まった、掴んだ手を強く握りしめ喜びに震える身体を京輔に近づける。 遼太郎は亜蓮の顎に指を添え優しい口づけをした。 指輪の交換を済ませ、誓いの言葉を口にする。 喉の奥で震える嗚咽を我慢して、肩を震わせながら永遠の愛を誓う。 式を終えて潮騒を聞きながらテーブルに用意されたワインで乾杯をした。 地元の豊潤なワインと美味しい料理に舌鼓を打ち、海の向こうに静かに消える夕陽を見つめた。 忌まわしい過去も寂しい想い出もすべて夕陽が溶かし、4人と2人を包む空は陽が沈んだ後も明るく輝いていた。 「京輔、愛してる」 「碧、愛してる」 完
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