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約束事
同居が始まって五日が経った・・・・・同居は限りなく快適だ。
ただ一つを除けば・・・・・
同じベッドで寝ながら、週末だけのSEX。
京輔の手は滑らかな動きで碧のパジャマの中に入りこんだ。
がっちり昂っていながら、お互い焦らし合いそれでも我慢を強いる。
週末だけと言ったのは自分なのに、同じベッドに寝ながら心も身体も落ち着かない。
おかげで週末のエッチは堪らなく気持ちがいいのも事実だ・・・・・我慢するのがいいのか、例外を認めるべきか・・・・・
後ろから抱きしめる京輔の身体は明らかに反応しているのにそれ以上何もしてこない。
それは自分が作った約束事のせいだと分かるから尚更もどかしい。
そこで碧はいい事を思いついた。
cafeの仕事の日は帰宅が早い、京輔が帰ったタイミングで夕食は外でしようと誘う。
京輔に車を出させ、郊外へドライブに誘う。
食事の後、いい雰囲気に持っていけば・・・・・京輔が乗らない筈は無い。
あわよくば、カーSEXに持ち込む算段だ。
ふふふと含み笑いをし、京輔の帰宅を待った。
それなのに・・・・・京輔は佐竹を伴って帰宅した。
手には持ちきれないほどの、肉と食材とビール。
佐竹も一緒にベランダで焼肉をすると楽しそうな京輔、焼肉は好きだけど・・・・・計画は木っ端微塵に砕け散った。
楽しそうに肉を頬張る京輔と佐竹を横目にビールをがぶ飲みする碧に二人は無慈悲な笑顔を向けた。
何も知らない京輔を責めるわけにもいかず、自分の計画が駄目になったことを嘆く。
そんな碧に京輔が声を掛けた。
「碧!どうかした?」
ここは正直に自分の今夜の計画を知らせておくべきだ、このまま口を閉ざせばまた、あらぬ誤解をさせる事になる。
「今夜の焼肉美味しかったけど、実は俺・・・・・今夜は京輔と外に食事に行こうと思ってたんだ。車で・・・・・食事の後・・・・・」
口に出すのが躊躇われ、口籠る碧に察しのいい京輔が碧を両手で抱きしめた。
「碧!何で言ってくれなかったんだ。私は碧との時間が我慢の限界に来て、仕方なく佐竹を誘ったのに・・・・・碧がそんな事思ってたのなら・・・・・遠慮する事はなかったんだ。ドライブしてカーSEXするつもりだったんだろ?じゃぁ、今夜はいいかな?」
「京輔!残念ながらダメだ。」
「何で?だって・・・・・ドライブして・・・・・その気だったんだろ?」
「そうだけど、でも・・・・・部屋では週末だけの約束を守らないと・・・・・だろ?」
「碧、それは屁理屈だ」
「屁理屈でも、仕方ない・・・・・だからこそ、ドライブに誘ったのにな、残念だよ」
「碧、例外は?」
「ない」
佐竹を連れて帰った京輔への碧のリベンジは今夜の焦らしで幕を閉じた。
これは(身体に支障をきたす場合を除く)と言う例外には値しないのかと言う京輔を尻目に眠りに着いた。
後二日我慢すれば、待ちに待った週末がやって来る、その日まで胸の動悸を鎮めればいいと決意を新たにした。
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