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ジェラシー
佐竹がいつの間に碧と約束を取り付けたのか・・・・・二人で話しているのを見た事はなかった。
いや、自分が気が付かなかっただけで、意外と二人は話しているのかもしれない・・・・・
そう言えば、碧を説得したのは佐竹だった。
カフェからいなくなった碧を探し出し、自分に逢ってくれと頼んだ佐竹がどうやって、碧を説得したのか、詳しくは聞いていないが、あれ程避けていた碧が入院している自分に逢いに来てくれた。
あれは佐竹のおかげだった。
自分が逢いに行っても駄目なのに、佐竹には説得された碧・・・・・佐竹はそれ程碧の心を掴んだのだろうか?
佐竹は確かに魅力的な男だ、女が引を切らず付き纏うほどモテる。
中学時代に始まり、高校の時もずっと誰かと付き合っていた。
まさか・・・・・女に飽きて、碧に興味を持ったのか?
散々女を食い尽くした男が、魅力的な碧にときめいたのかも知れない。
例え、親友とは言え碧は渡せない。
一体、何を買いに行くのか確かめる必要がある。
狭量な男だと思われるのは心外だが、こっそり後を付けることにした。
碧が身支度を整えた頃、玄関のチャイムが鳴った。
碧が玄関のドアを開けると、いつもよりお洒落な格好の佐竹が立っている。
「碧さん、せっかくのお休みなのにすいません」
「とんでもない、全然構いません」
「やぁ、遼太郎!碧と買い物だって?気をつけてな」
鷹揚に構えて腹の中は疑心暗鬼で黒い霧が渦巻く。
「京輔、碧さん借りるな」
「どうぞ」
「じゃあ、行ってくる。昼は冷蔵庫にあるもの見繕って食べてくれ、俺は佐竹さんとランチするから」
「あぁ、わかってる」
二人が揃って出たのを確かめて、直ぐに部屋を出た。
遼太郎が助手席のドアを開けて、碧が座るとドアを閉め、運転席へ回った。
女子じゃあるまいし、ドアを開けて載せるなんて・・・・・碧を彼女扱いする気か?
スマートな仕草が妙に板について、碧の顔が嬉しそうなのが癪にさわる。
車はゆっくりと走り出した、その後を気づかれないように着いて行く。
浮気の証拠を掴む夫の気持ちだ・・・・・そう思いながら、二人がどこへ向かうのかさっぱり分からない。
まさか・・・・・このままドライブ?
ドライブした先で・・・・・この前碧が言ってたことを思い出す。
「二人で食事してその後・・・・・ふふふ」
そんな碧の計画を遼太郎と一緒に帰宅して台無しにしたのは自分だ。
ハンドルを握りしめ、バレないように後を着ける。
車は大型ショッピングセンターの駐車場に入って行った。
あれ?ほんとに買い物?
少し安心した。
離れたところに車を停め、二人の後を着いていく。
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