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宇宙へ
そうだ、宇宙へ行こう。
私がそう思ったのは、従兄弟のお兄ちゃんが亡くなった時だった。
従兄弟のお兄ちゃんは今の医療では治せない難病を患っていて、成人するまで生きられれば良い方と言われていた。
結果として、成人するすこし前に亡くなってしまったけれど。
残された従兄弟のちい兄ちゃんは、お兄ちゃんの患っていた難病の治療法を探すため、医大を目指していると私に話した。
その時に、無重力下で新薬の研究ができれば、今はまだ作られていない難病の薬が作れるかもしれないと聞いたのだ。
だから、小さな望みでも、私はその研究を進めるために、宇宙へ行こうと思った。
ちい兄ちゃんは医者を、私は宇宙を目指す。
それがお兄ちゃんへの弔いだ。
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