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 目が覚めるとすぐに高屋の部屋を出た。そのままコンビニに行き、食べたい物を好きなだけ買って、自分の部屋に戻った。  高屋と寝れば、好きな物が好きなだけ買える。家賃の心配もいらない。この生活を続ければ借金も返し切れるかもしれないし、夢も諦めずにすむかもしれない。 「…………」  明かりを点けないで部屋で一人シュークリームを食べながら考えた。  ……本当にそれでいいのか? 人として大事なものを失ってないか?  でも、夜逃げ寸前だったんだ。空き巣にまで入った。そんな俺がまだ何事もなくここに住めるのは高屋のおかげだ。  役者の仕事が上手くいくまでは我慢しよう。せめて借金の返済が終わるまでは我慢しよう。  あまりに美味しいシュークリームを食べながら俺はそう決めた。 『今日は広いところでしたいのでホテルに行きましょう』 「…………」  まだ午前中だというのに高屋からの誘いのメッセージは嫌な予感しかしなかった。  これが何かのノルマのように週に二、三度来る。  俺の性欲がチンパンジーなら、あいつのはアフリカゾウだ。俺のちんちんが公園の噴水なら、あいつのちんちんは活火山なんだ。  しかもあいつは見た目とのギャップがかなり激しい。純朴そうで奥手そうな田舎の青年みたいな見た目をして、性欲はマウンテンゴリラなんだ。  いつも終わったあとは念入りに体を洗うが、高屋とのセックスの記憶はいくら洗っても消えない。時折思い出しては叫んで後悔してしまうくらいだ。  あんなおぞましい体験はもう二度としたくない。  そう思っているのに、俺は雨の中電車に乗り、駅からは傘を差して歩いてホテルに向かった。そしてラブホテルとラブホテルの間の隙間に隠れ、高屋が来るのを待った。傘を差した高屋の姿が見えたとたん、走って高屋より先にいつものラブホテルに入った。  男とこんなところに入るところなんて絶対に誰にも見られたくない。男の愛人をしてるなんて絶対に誰にもバレるわけにはいかない。 「今日はいつもと違う部屋にしましょう」  後からやって来た高屋が、悠長に写真のパネルを見ながら部屋を選んでいる。  それを離れた場所から見ていた。端から見れば、まるで水族館で水槽を見ているような穏やかな光景である。  ……しかし高屋の中身はエロスケベセクハラじじぃだ。とても俺の手に負えるようなもんじゃない。  高屋が鍵を受け取り、エレベーターまでやって来た。 「さ、行きましょうか」  二人でエレベーターに乗ると、手を握られた。しかも恋人のように指を組み合わせてきた。 「…………」 「昨日柳田さんが出てる映画を見ました」 「……見つからなかっただろ」  端役も端役。序盤早々に殺されてしまう大勢のうちの一人だ。 「いいえ。すぐに分かりました。手錠をされたまま殴られていましたね。すごくエッチでした」 「…………」  俺をそんな目で見るのはこいつくらいだ。穏やかそうな目をしているくせにその奥ではギラギラとギラついているんだ。  高屋に手を引っ張られ、意を決してエレベーターを降りた。 「……な、なんだそれはっ……⁉」  シャワーから出てきたとたん、高屋が鞄から出してきた物に驚愕した。  バスローブを着た高屋が、ベッドに座った。 「これ、分かります?」  高屋が手に持っているのは、銀色のラメが入った円筒型で半透明の物体だった。 「実はこれ、僕の形に模して作ったんです。あなたを両側から攻めたくて」 「…………」  嫌な予感はこれだったのか。 「今日は僕の妄想に付き合ってください。あの映画の続きをしたいんです。僕はヤクザ役で裏切り者のあなたをこれから凌辱します」 「……無理があるだろ」  とてもヤクザには見えない風貌なのに。  高屋に手招きされ横に座ると、高屋のちんちんの形をしたバイブで顔を撫でられた。  ゆっくりとバイブが左頬からおでこを通り、右頬を通ると顎まで到達した。 「…………」  我慢して撫で回されていると、偽のちんちんが唇で止まった。 「口を開けてください」 「…………」 「まだ抵抗があるんですか? 本物との違いを確認してみて欲しいだけなんです」 「…………」  少し口を開けると、押し倒され、強引に口の中にをねじ込まれてしまった。 「…………っ!」 「どうです? 同じ形ですか?」  同じに決まってるだろっ。見た目が同じなんだからっ。 「これ動くんですよ」 「…んンっ……ンんっ……!」  喉奥まで挿れられたおもちゃのちんちんがウィンウィンと振動を始めた。 「柳田さんのことを毎日考えてたらこんなものまで作ってしまいました」 「…………」  この変態がっ!  口の中を偽のちんちんで思う存分攻められたあと、高屋の要望通り、高屋扮するヤクザに犯されるストーリー展開になった。  俺はおもちゃのちんちんを両手で握り、舌で舐めながら、高屋に正常位で犯される怒涛の展開である。 「エッチな柳田さん」 「…………」  俺はちんちんを咥えながら首を横に振った。俺はエッチじゃない。エッチなことをさせられているだけだ。 「おちんちんが大好きな柳田さん」 「…………」  ちんちんなんか好きじゃない。やらされてるだけだっ!  生活と引き換えにこいつの愛人になることを選んだんだ! 「お尻感じてるでしょ?」 「……感じてないっ!」  尻が感じるわけないだろっ。そもそもそこはセックスする場所じゃないんだからっ。 「……あっ、……あっ……!」  感じてない。絶対、感じてないっ。感じてなるものかっ。 「あぁ、やっぱり柳田さんのお尻の中は最高です。今までの誰よりも気持ちがいいです」  人と比べるなっ。 「僕はもう柳田さんのお尻でしかイけそうにありません」  俺の穴がそんな特別なわけないじゃないかっ。  いつもながら、目を開けたまま喋りながら達する高屋の狂人ぶりに、嫌悪感しか湧かなかった。  ……早く終わってくれ。  凌辱の設定はまだ続いているらしい。四つん這いの姿勢を取らされ、尻におもちゃのちんちんを突っ込まれていた。  本物のちんちんを何度も入れているから同じかと思ったが、おもちゃのちんちんの方が、なぜか本当に凌辱されている気分になった。  それに高屋のテンションも明らかにいつもと違っている。息が荒く、興奮が止まらないという感じだ。 「柳田さん。ゴム付けてください」  高屋にコンドームを渡された。 「…………」  袋を破って中身を出し、さっき出したばかりなのに、もう勃ってい高屋の濡れたちんちんにゴムを被せ、根元まで下ろした。  すると高屋がコンドームを被せた自分のちんちんで俺の顔を撫で始めた。 「…………」 「毎回同じセックスなんて退屈ですよね?」 「……そんなことない。いつも同じがいい」 「僕らはもっとエッチな関係になれると思うんです。特にあなたはまだまだ変われるはずです」  ……変わるってなんだ。これ以上俺に何を求めてるんだ。  唇にちんちんが触れた。ゴムを付けているとはいえ、それは偽物のちんちんとは違って、体温を持っていた。 「柳田さんの新しい扉を開きたいんです」 「…………」  ちんちんで?  高屋に顎を掴まれ、口を開けると、ちんちんを突っ込まれた。 「…………」 「ああ、さすが柳田さん。おちんちんを咥えていてもかっこいいです」 「……んっ……んっ……ンんっ……!」  同じちんちんに両側から攻められるなんて、俺はいったい前世で何をしたんだ。  ……それに。  さっきから尻の中の俺の熱い部分に、偽物のちんちんが当たっていた。  そのせいで足に力が入らなくなって、四つん這いの姿勢を維持するのが難しくなり、肘で体を支えながら口を高屋に犯されていた。 「……んンっ……んンっ……んぐっ……!」 「柳田さん」 「……んぐっ……んんっ……んんっ……!」 「お口の中でもイってもいいですか?」 「……んぐっ! ……」  心の中で何度も頷いた。いいから。早くイけっ! 体勢も顎もキツいんだよっ! 「あぁ、柳田さんの口の中はいつも温かくて気持ちがいいです。これからも二人でもっと気持ち良くなりましょう。僕は柳田さんのためになんだってしますから」 「……ぐゎっ……」  何度も喉奥まで突っ込まれ、何度もえずき、ようやく開放されてほっとしていると、偽物のちんちんが尻から抜かれ、高屋が背中に覆いかぶさってきた。 「……え……」  驚いている合間にぽっかり空いた穴に本者のちんちんが埋め込まれた。  口でイったんじゃなかったのかよ! この嘘つきがっ!  高屋の体重が背中にのしかかり、体が押し潰される形になった。 「……ま、まって、……ちんちんがっ」  俺のちんちんがっ、体とシーツに挟まって擦れてるからっ。  高屋の重みと高屋が作る振動で、ちんちんがシーツに強く擦りつけられる。 「……あっ……まっ……あっ……あっ……!」  摩擦でちんちんが硬くなっていくのを感じる。  いやだっ。ちんちんを突っ込まれながらはイきたくないっ。  しかし背中にぴったりと張り付き、押し潰してくる高屋に、後ろからズンズンと犯されていた。  強く擦られてちんちんが暴発寸前にまでなっていく。 「柳田さん。一緒にイきましょう」 「……いやだっ!」  しかし高屋は止まってくれなかった。 「……あっ…、あっ……、あっ……、あっ…………‼」 「理想の男と思い通りにセックスできるなんて僕は幸せ者です。できれば二人で幸せになりましょう。僕らは素晴らしいセックスパートナーになれるはずです。ね? なれますよね? ね?」  耳元で言うなっ!  きもちわるいっ……‼ 「……あっ‼ ……あっ‼ いやだぁああぁあぁああぁっ……‼」  高屋の下でビクビクと体を痙攣させながら射精してしまった。 「ね? 二人でイく方が気持ちがいいでしょう?」 「…………」  ちんちんを挿れられながらは絶対にイきたくなかったのに……。  こんな奴のセックスパートナーになんて絶対になりたくない。  決めた。やっぱりこんなのは駄目だ。絶対にこんな生活から抜け出してやるんだ。
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