ねむる

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 手を握ったまま橋げたを見上げる。 「こうやって十八歳は消えていくんだろうな……」 「だろうね。平和が売りの国に生まれたんだもの。平和の中で死んでいきたいよ」  優菜の手をギュッと強く握る。 「どのくらい夢を見ていてられるか分からないけど雄二の夢を見たいな」 「雄二に会えたらどっちの告白に応えるか私迷うな」 「それはそれで平和の象徴だよ」  瞼が重くなる。痛みも苦しみも悲しみも全て飛ばして俺らは眠りの落ちる。  求めたのは細やかな幸せ。明日、それがあるとは限らない。  秋の風が吹いた。  ああ。雄二の姿が見える。  来たよ雄二。  お前のもとに。  二人で来たよ。  細やかな平和な世界に。
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