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第22話 『幸せだな』
その後、明音さんたちは別々の場所へ転校して行った。
咲希も退院し、また幸せな生活を送ることができた。
「咲希、咲希は私にとって大事な妹だよ」
そう言って私は咲希を抱きしめた。
「もう、絶対隠し事はなしだよ」
咲希は私を抱き締め返してくれて、
「うん、必ず相談するよ。だから、お姉ちゃんも隠し事はせずに私に相談してね。お姉ちゃんは私にとって大切な姉なんだから」
私たちは仲直りした。
そして、私は咲希と同じ黒髪ロングをバッサリときり、髪型をボブにした。
これはせめてもの自分へのケジメの証だ。
それから、私と咲希は人から間違えられることは無かった。
(……咲希、私はいつもあなたの味方だから)
この気持ちは決して嘘偽りはなく、私の本当の咲希を守りたいという強い意志である。
そして、私は残りの高校生活を咲希と一緒に楽しんだ。
「咲希!行くよ!」
「待って、お姉ちゃん!」
「咲希、咲良!行ってらっしゃい」
「行ってきます!」
私は世界一幸せ者だと改めて思った。
もし、あのまま咲希が帰らぬ人となっていたら、私は明音さんたちを許せなくて彼女たちの人生をめちゃくちゃにしていたんだろうなって今になって思う。
パシっ!
目の前で手を叩く音が聞こえた。
「ほら、また怖い顔してるよ。笑顔が1番大切だよ!ほらっ!」
そう言って咲希は私に笑顔を見せた。
「そうだね!」
私も笑顔で咲希にそう言った。
(今はこの幸せだけを感じていたい)
ただそれだけだった。
ちなみに、杏奈さんにこの事は伝えてある。
彼女もまた、私にとって大切な友達だ。
「私って幸せだな」
「なんか言った?」
「ううん、何でもない!」
私の復讐の物語は終わりを告げた。
「そういえば、山内先生ってどうなったの?」
「それは、秘密だよ!」
「え〜」
私は世界一幸せ者だ。
けっして失ってはならない家族。
守れる範囲は守っていこう。
その言葉を私は今も心の中に刻んでいる。
「今度は絶対に守りきってみせる!」
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