第2話 (1)『妹が虐められている!?』

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第2話 (1)『妹が虐められている!?』

(朝と同じだ……。暗くて低い声に、暗い表情…。絶対、何か隠してるんだ、双子なんだもん!隠し事をしていたって、私には分かる。ずっと一緒にいたんだから、咲希のちょっとした変化だって私はすぐに気づけるんだから!) 咲希が心配になった私は、どうにか、咲希が元気になる方法を私な りのやり方で探したり、考えたりしてみた。 「咲希の身に何かが起きているのかな?学校から帰ってからってことは、学校で何かあったのかもしれない」 元気がない理由なんて、だいたい予想がつく。 朝とさっきの咲希を見れば、誰だってわかると思う。 (でも、私は学校へは行かないしどうしよう。咲希は学校で何があったんだろう。人間関係的な……?) なんて思いながら、ベットに横になった。 (学校で何があったのか、咲希にバレないように探るしか方法はない!) そう思った私だった。 いつの間にか、私は眠りについていた。 『……けて』 『……助けて』 「誰、誰の声?」 『お姉ちゃん!助けて!』 「この声、咲希なの!ねぇ!」 『お姉ちゃん!お願い!助けて!』 「咲希、どこなの!ねぇ、どこなの!」 『お姉ちゃん!!』 「咲希!」 ハッ! 気がつくと、私は天井に手を伸ばし、まるで助けを求めるようなそんな状態になっていた。 (今の夢……?っていうか、私寝ちゃってたんだ……) その夢は、ずっと、咲希に助けを求められる夢だった。 (夢なのに、なんでこんなに胸が苦しいんだろう) 私は、また同じ夢を見るのではないかと思い、朝までずっと起きていた。 (苦しそうな咲希の声を何回も聞くなんて、そんなの私には耐えられない) 私は、ヘッドホンを付け、ずっと朝まで音楽を聴いていた。 少しでも、あの夢の出来事を忘れるためだ。 ドンドン! 「咲希!咲良!朝よ!」 階段の壁を叩き、私たちを起こすお母さんの声が家中に響き渡る。 ガチャ 私と咲希は同時に部屋から出た。 「咲希、おはよう」 「お姉ちゃん、おはよう」 今日も咲希は暗かった。 いつもハグする私だが、今日は昨日の夢もあってか出来なかった。 朝食も食べて、学校に行く支度をする咲希を見ると、暗い表情で、 「はぁぁ〜」と深くため息をついていた。 「行ってきます」 「行ってらっしゃい」 また、暗い声で家を出ていく。 さすがにお母さんもおかしいと思ったのか、 「最近の咲希、元気がないような気がするのだけど…」 と言っていた。 お父さんはそれを聞いて、 「確かに、どうしたんだろうな。失恋でもしたか?」 など呑気なことを言っている。 「お父さん、お母さんもう出ないと行けない時間じゃない?」 「あら、いけない。早く準備しないと!」 私は準備をするお母さんに 「お母さん」 「どうしたの、咲良?」 「あのさ、今日のオンライン授業サボっていい?」 「どうして?」 「だって、全部学活なんだもん。つまんないじゃん!代わりに家中掃除するから。ね?いい?」 「もう!咲良ったら!今回だけよ」 「ありがとう」 「じゃあ、お母さん行ってくるね」 「うん、行ってらっしゃい」 手を振って母を見送ったあと、私は家中を掃除した。 「よし!ピカピカになった!あとは、私の部屋はいいとして、こな いだ片付けたし、咲希の部屋掃除したら終わりかな」 なんて、咲希の部屋に入って掃除していた。 そしたら、机の上に咲希がずっと大事にしていた、ピンクのポーチに目がいった。 「え、何これ…」
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