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第4話 『もう、やめて!』
次の日、咲希は深くため息をつきながら登校していった。
「今日も学校行きたくないな……」
(お姉ちゃんに傷見られたし、八つ当たりしたし、本当に私ってなんで生まれてきたんだろう)
私は、咲良の妹の咲希。
学校に行くのは、人生の中でもっとも憂鬱だった。
家族に心配かけたくなくて、平然として学校に通っている。
なぜ、学校が憂鬱だって?
それは……
ガラッ
「おはようございます……」
シーン
私が挨拶しながら、教室に入ると、案の定誰も返してくれない。
いつもの事だと思い、私は自分の席へ向かった。
「あれ?私の席がない……?」
よく見ると、私の机と椅子がなかった。
混乱している時、
「あ〜ら、誰かと思ったら、落ちこぼれの咲希ちゃんじゃな〜い」
私に声をかけてきたのは、2年生の中でもリーダー的存在であり、私を虐めている主犯格だ。
名前は、黒崎明音、誰も彼女には逆らえない。
だから、みんな私を無視する。
(何で、私は明音さんに失礼なことでもした?)
なんていつも思ってしまう。
「あ、明音さん……」
私が怯えながら、名前を呼ぶと、
ドンッ!
「きゃあ!」
私は、明音さんに突き飛ばされた。
「気安く私の名前を呼ばないでちょうだい!あんたに名前を呼ばれると、鳥肌が立ってキモイんですけど……クス」
「……クスクス」
周りの人も私を見て笑っている。
(この教室に、私の味方は1人も居ない)
もう、本当に絶望的だった。
すると、
ガラッ
「はい、みんな席に着け〜」
担任の山内先生が入ってきた。
私は、この先生も苦手だ、というか大嫌いだ。
なぜなら、
「おい、伊織!お前、机と椅子はどこだよ」
「そのどこを探しても見つからなくて……」
「じゃあ、地べたに座って授業するか?お前にはピッタリだと思うよ」
「先生、最っ高!」
私はクラスの笑いものに過ぎなかった..…。
山内先生は、私が虐められていることを知っているにも関わらず、彼も私をからかったり、いじめに参戦したりしている。
日々のストレスの発散になるらしい。
(いつまで、こんな生活を送らないといけないの?)
周りからの目線が私に刺さってくる。
ものすごく痛かった。
(お母さんやお父さんが知ったら、なんて言うかな?ガッカリするのかな……)
「ねぇ、落ちこぼれ。放課後に校舎裏ね」
明音さんとその取り巻きたちが私の前に来て、そう言った。
「来ないとあなたの両親に言うから」
「ッ!」
「……分かりました」
私が両親に言えないのを知っているため、何かとそれを出しにして言ってくる。
放課後、私は校舎裏へ行った。
(早く帰りたい!)
なんて思っても、私は弱いから明音さんの言うことには逆らうことすら出来なかった。
でも、今のままじゃダメだと思って私は勇気を振り絞って明音さんに言った。
「あ、なんだ、もう来てたんだ」
「……」
「は?何?無視?」
明音さんは、今日は機嫌が悪くも良くもないって感じだった。
「…明音さん」
「だから、あんたに名前を……」
「もう、いい加減にしてください!」
私は、大きい声で明音さんに怒りをぶつけた。
「はぁ?」
明音さんは、何か言いたげな顔をしていたけど、私は気にせず言った。
「どうして、私をいじめるんですか?私が何か明音さんにしましたか?もう、うんざりしてるんです。こういう事は辞めてくれませんか!」
とっさに出た言葉に、私はちょっとスッキリした。
言いたい事は全部言いきれてはいないけど、自分が言いたいことは言った。
明音さんに届いていれば、いじめだってやめてくれるはずだと、甘い気持ちでいたのが間違いだった。
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