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友達と遊んでる暇があるなら新しい物語を創り上げる事をしてる方が良い。
時間は待ってくれないんだからほんの少しの時間でも見つかればその時間は全て絵本の創作活動をしていた方が自分のためになる。
そう思って授業、部活動、塾以外の全ての自由な時間は全て絵本作家になるための時間に費やしていた。
だからいつしかいつも一緒に居た仲の良い友人達とも距離が空くようになって周りの子達からノリの悪い嫌な奴扱いされるようになっていて、中学を卒業する頃には完全に1人ぼっちになっていた。
卒業式だって皆友達同士で集まって写真を撮ったりしてるのに小川は他の皆が“また皆で会おうね”って泣きながら抱き合っているのを横目に誰も乗っていないバスに乗って1人寂しく家に帰った。
卒業アルバムの写真だってどこのクラスもほとんどがいつメン同士で集まって仲良く撮ったやつが載っているのに吹奏楽部の集合写真以外、自分が写ってるクラス写真は1枚も無かった。
卒業式を迎えてから初めてそれが何だか恥ずかしく情け無いものに感じたから卒業アルバムは家族にさえ見せるのに躊躇った。
でも結局彩にしつこく見せてと言われたから仕方なく見せたけど『この子知ってる!高校の時同じクラスだった子の弟だわ』とか言って芽衣子達と盛り上がるだけ盛り上がって妹の写真については誰も何も触れなかなった。
『小川さんって近寄り難いよね。私は貴方達と違うんですーみたいな感じでさ、なんか大人ぶってる感じでやだよねー』
卒業アルバムを1人部屋で広げてじっくり見てたら何故だかぽろっと涙が溢れ落ちた。
ただ必死だっただけなのに、絵本作家になりたいとただ毎日必死だっただけなのに不採用ばかり続く中クラスの子達からは後ろの方でワザとこっちに聞こえるように何気なく言われ続けた悪口。
それがこの時思い出されて何度も何度も頭の中にリピートされた。
そんな事を言われたって構わないと決めたのは自分なのにどうして涙が出るんだろうか?自分に泣く権利なんてないのに、全部自業自得なのに……。
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