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「……ねぇハルパール」
「“ハル兄さん”、でしょう?リサとガスパールのガスパールみたいに呼ばないで下さいと何度も注意したはず…」
「これ知ってるぅ?」
「はい?」
シイナは絵を描きながら「今仕方なく通ってる大学で聞いた事なんだけど」と話し始めた。ハルは黙って車を運転し続けた。
「呪いのカードだか何だかってのが最近流行ってるらしいよぉ。そのカードを渡された・もしくは触れた人がね、みんな居なくなっちゃうんだってさぁ」
「ただの噂でしょ」
「そこはどうなんだか分からないし興味もないけど、昼休みに財部と食堂行って大盛りラーメン食べてる財部をこんなに食うとか気持ち悪いなって思いながら見ながらメロンソーダ飲んでたら…」
失礼な奴だな。とハルは思った。
「『今ヤバいらしいよ』って背後から会話が聞こえてきて…
『なんかさぁ同じ学科の子が言ってたんだけど、桃ノ花高校でも被害者出たらしいよ。誰が居なくなったんだか分からないけど、また女の子居なくなったんだって』
『え〜!?マジ!?…えっ、ってかそれもあのカードが関係してんの?呪いのカードだかなんだかって皆が言ってた…』
『うん、そうみたい』
『結局それって何なの?』
『分かんないわよ。でもそのカードには必ず赤い字で茉莉花って書かれてあんだって。それでそのカードに触れた人達が揃って消えてくとかって…。本当に居なくなったか分かんないけど…』
『どうせただの噂だって。もし本当にそうならとっくに大ニュースになってテレビとかにいっぱい流れたりしてさ、今頃世の中パニックになってるはずじゃん?』
『だよね…。でも何か今それについて調べて歩いてる子達居るらしいわよ』
『誰?』
『桃ノ花高校の1年生だって。確か男の子と女の子の2人組って聞いたような…』
……って言ってたの」
「人が居なくなる呪いのカード?」
「べっつに僕、ハルパールと市ヶ谷の事心配してるわけじゃないけど、あんた達の仕事増えたら可哀想だなぁとかちょっとは思ってあげてるわけだからぁ一応仕方なく言うけど、もし噂が本当ならその2人組の子供に今すぐ調べるの止めさせるよう言っといた方が良いんじゃないのぉ?もしマジな話しだったら手遅れになるかもしれないんだしぃ」
「…………」
「ねぇ聞いてんの?」
返事が返ってこなくなった事に少しイラッとしてシイナが顔を上げるとハルは何か考えてるような表情で黙ったまま車を運転していた。「僕の話し聞いててくれたみたいで良かったけど、事故ったりしないでよねぇ」とシイナは忠告して再びスケッチブックに鉛筆を走らせた。
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