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第8話 もう守られてばかりじゃない(2)
その後の智也といえば、無言のまま席について机に突っ伏していた。
帰りのHRが終わると、騒動を起こした二人は職員室に呼び出されることになる。
とにかく話を聞かないことには何もわからない。陽翔は教室でただ一人、智也が戻るのを静かに待っていた。
やがてガラリとドアが開いたかと思うと、智也が浮かない顔をして教室に入ってきた。
「なんでまだ残ってんだよ」
「だって気になるじゃん」
陽翔は椅子から立ち上がって歩み寄る。しかし、智也はその横を通り過ぎていった。
「待ってたとこ悪ィけど、今日は一人で帰るわ」
そう告げて、バッグを手にさっさと帰ろうとする。
慌てて引き留めようと思ったのだが、入れ替わりで教室に入ってくる人物がいた。智也に殴りかかった男子だ。
運悪くしてやられた。おかげで声をかけるタイミングを失ってしまい、気がついたときにはもう智也の姿はなかった。
「……佐藤くん、ちょっといいかな」
仕方なしに、陽翔はもう一人の当事者の名を呼んだ。
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