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「相手はどう見ても男だし……なに、お前ってそっち系だったわけ? 前から噂にはなってたけど、この話してたら急に坂上のヤツが掴みかかってきてさ~。ガタガタうるせェもんでつい手が――」
「だったらなんだよ」
自分でも驚くほど冷たい声が出た。
やはりというか、予想が確信に変わってしまった。智也が殴られたのは自分のせい――そう思うと悔しくて堪らなかった。
佐藤のことを壁に追いやってしまい、手をついて逃げ道を塞ぐ。突然のことに驚いているのか、相手は目を見開いて固まっていた。
「盗撮なんて趣味悪いね。……で、どう返事すれば君は満足するの? なんならその写真拡散してみる?」
言うと、佐藤はようやく我に返ったらしい。焦った様子を見せ始めた。
「うっわマジかよ……ないない、ないっしょ? フツーにキショいわ。あんなにチヤホヤしてきた女子だって『騙された!』ってなんじゃねーの」
「……くっだらない。他人の目なんてどうだっていいよ。俺はみんなが思っているような人間じゃなかった、それだけの話でしょ」
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