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陽翔は自嘲気味に軽く笑ってみせる。これ以上は時間の無駄だろうと、壁についていた手をどけた。
「もういいや、話してくれてありがとう。――ただ、智也を傷付けたことは許さないから」
吐き捨てるように言って背を向ける。教室を出る間際になって、佐藤の呟きが耳に入った。
「お前……そんな顔、するヤツだったんだ」
横目で見れば、またもや呆然としている佐藤の姿が映り込んだが、陽翔は何も言わずに立ち去ったのだった。
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