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第8話 もう守られてばかりじゃない(3)
学校を後にし、智也の家へやって来た陽翔は迷うことなくインターホンを押した。が、反応がない。試しに通話をかけてみれば、何コールかしたのちにようやく繋がった。
「智也、今どこ?」
『……家』
「なら、ドア開けてくんない? 家の前まで来てるんだけど」
喧嘩でもしたような雰囲気が未だに漂っていて、返事を待つも、智也は黙り込んでしまう。正直、こうなることは見越していた。
「コンビニで肉まん買ったから、一緒に食べようよ。まだあったかいよ?」
智也がいるであろう部屋の窓に向かい、手に提げていたビニール袋を掲げてみせる。
程なくして、玄関のドアが開いた。
「食いもんで釣るとか卑怯じゃね?」
「この時間、お腹減るもんねえ」
渋々といった様子で出てきたものの、智也は家の中に招き入れてくれた。
「なんか飲む? つっても、今なんもねーけど」
「いいよ、お構いなく。ついでにコーヒーも買ったから」
そのようなやり取りをしつつ、智也の部屋へ向かう。
部屋に入ると、陽翔はローテーブルの前に腰を下ろした。一方、智也はデスク前の椅子に座る。
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