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「はい、智也のぶん」
「ああサンキュ」
智也は肉まんを受け取るなり、早速手をつけ始めた。
それにならって陽翔も齧りつき、しばらく無言のまま咀噛を続ける。互いにあと数口というところで本題に入った。
「佐藤くんから聞いたよ。智也、また俺のことで喧嘩しちゃったんだね」
智也が一瞬固まる。残りの肉まんを一気に頬張ってから、ぽつりと言葉を紡いだ。
「……本当は殴りたかったけど、シャレにならなそうだからやめた。つか、わざわざそんなこと言いにきたのかよ」
「俺のせいで智也が怪我したんだから、じっとしていられるはずないでしょ。特に今回のは本当のことなんだし、しなくてもいい喧嘩だったじゃん」
咀嚼を終えて向き直ると、陽翔は智也に真剣な眼差しを向けた。
「『本当のこと』つったって、腹が立ったんだから仕方ねーだろ。なにもお前に限ったことじゃねーし、俺らの関係がバカにされてる気がしてすげー嫌だったんだよ」
「智也……」
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