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「そう考える輩がいるってのもわかるし、別に受け入れられたいわけでもねえ。けど、やっぱ複雑になるっつーか――後ろめたいことなんか何もないってのに、無性に気になって……つい、否定するみたいに掴みかかっちまった」
智也は気まずさを感じているらしく、視線を逸らした。
その様子を見つめながら、陽翔は胸の奥がきゅっと締め付けられる感覚を覚える。
「『好き』に、ごめんもクソもねェだろ」
ややあって自然とそんな言葉が口をついて出た。
「え……?」
「って、俺が告白した日に言ってくれたよね。あのとき思ったんだ――もうこの気持ちに嘘はつきたくないって。だから何があっても、俺は『智也が好きだ』ってちゃんと言うよ」
立ち上がって智也のもとに歩み寄っていく。椅子の後ろからその両肩に手を置くと、智也は背もたれに寄りかかるようにしてこちらを見上げてきた。
陽翔は柔らかな笑みを返して続ける。
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