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第8話 もう守られてばかりじゃない(4)★
「ハッ、さすがは学園の王子様。言うことが違げェわ」
「ま、またそんなこと言って。俺、その『王子様』っていうのわりと嫌なんだけど」
「どうしてだよ。俺は好きだぜ? お前に合ってるし――何より自慢したくなるしな」
椅子を回転させ、智也の体がこちらに向く。真っ直ぐに見据えてくる瞳には熱がこもっていた。
「まあどっちかっつーと、独り占めしたいけど」
照れくさそうに呟いて、智也が首に腕を回してくる。
陽翔は誘われるがままに顔を近付けていき、柔らかく唇を重ねた。
触れ合った箇所から伝わってくる体温に、心が満たされていくのを感じる。もっと深く繋がりたいと舌を差し出せば、智也も応えて舌同士が絡み合った。
「っ、う」
「あ、ごめんっ……痛い?」
智也の顔がわずかに歪む。殴られたときに口の中を切っていたらしく、舌先に血の味を感じた。
すぐにキスを中断させるも、智也はグイッと引き寄せてきて、
「いい。気持ちいいから――もっとキスしてえ」
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