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しばらく考え込んだのち、やがて一つのピアスを手に取ってこちらへと宛がってくる。
それは小ぶりのベーシックなスタッドピアスだった。ラウンドカットされたオニキスがあしらわれたデザインで、ちょうど智也の好みにも合っていた。
「俺的には似合ってると思うんだけど、本人としてはどう思う?」
「いいんじゃね? アクセントにぴったりじゃん」
素直に感想を述べれば、ホッとしたように陽翔が笑みを浮かべる。
「じゃあこれ、誕生日プレゼントとして贈っていい?」
「お、おう」
ふわりとした王子様スマイル。こんなもの見せられたら、世の女はイチコロだろう。現に、通りすがりの女子高生が振り返ってはきゃあきゃあと騒いでいる。
(そんな野郎が好きな相手ってのが、俺なんだもんなあ……)
周囲からどう思われているのか知らないが、付き合っているという実感にこそばゆい気持ちでいっぱいになってしまう。
それから会計を済ませ、ラッピングしてもらうまであっという間だった。
「はい、智也。改めて誕生日おめでとう」
「ああ、サンキュな。大事にするわ」
差し出された包みを受け取り、智也は礼を言う。
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