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番外編 愛あるキズアト(2)
商業施設を後にして帰宅するなり、智也は陽翔を部屋へと招き入れた。
「ええっ、俺が!?」
ベッドの縁に腰かけ、智也は先ほど頭に浮かんだことを話していたのだが、思いのほか驚かれてしまった。
というのも、陽翔にピアスホールを開けてほしいと頼んだのだ。せっかくだから新しくホールを作ってしまおうと思い立ち、ならばプレゼントついでに――といった具合だ。
「よくね? ハルにホール開けてもらうの。これもプレゼントの一つだと思ってさ」
言いつつ、自分で消毒とマーキングを済ませてしまう。その一方、陽翔はピアッサーのパッケージを手に困惑しているようだった。
「こういうの、学校でたまにやってる人いるけどさあ……他人がやっていいものなの?」
「はあ? そんなん別にどうでもいいだろ」
「えええ~……」
ピアッシングは医療行為のため、医師以外が第三者に処置することは法令により云々――といった文章が取扱説明書にはあるのだが、ここで口にするのは野暮というものだろう。
「ほら、早くパッケージ開けろよ。あとはもう押し込むだけだから」
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