番外編 愛あるキズアト(2)

2/3
462人が本棚に入れています
本棚に追加
/168ページ
「は、はいっ」  陽翔は慌ててパッケージから本体を取り出す。  とはいえ、なかなか踏ん切りがつかないようだった。智也は痺れを切らしたようにその手を掴む。 「――ここ。マークに合わせて耳と垂直になるようにな」  位置を教えてやると、陽翔が小さく息を呑む気配がした。 「すごく緊張するんですけど……」 「なんでお前が緊張してんだよ。いいから一思いにやれよ」 「ううっ……」  陽翔はいよいよ覚悟を決めたようで、「じゃあ、いくよ?」とピアッサーを 握り直す。  一呼吸置いてパチンッという乾いた音と、軽い痛みが走った。 「いいい痛くなかった!?」 「全然? おー上手い上手い、ちゃんと真っ直ぐじゃん」  スタッドカプセルを取り外し、鏡で確認してみたけれど、キャッチもきちんと装着されているし特に問題はない。むしろ、狙いどおり綺麗に貫通していて感心するほどだ。
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!