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「は、はいっ」
陽翔は慌ててパッケージから本体を取り出す。
とはいえ、なかなか踏ん切りがつかないようだった。智也は痺れを切らしたようにその手を掴む。
「――ここ。マークに合わせて耳と垂直になるようにな」
位置を教えてやると、陽翔が小さく息を呑む気配がした。
「すごく緊張するんですけど……」
「なんでお前が緊張してんだよ。いいから一思いにやれよ」
「ううっ……」
陽翔はいよいよ覚悟を決めたようで、「じゃあ、いくよ?」とピアッサーを
握り直す。
一呼吸置いてパチンッという乾いた音と、軽い痛みが走った。
「いいい痛くなかった!?」
「全然? おー上手い上手い、ちゃんと真っ直ぐじゃん」
スタッドカプセルを取り外し、鏡で確認してみたけれど、キャッチもきちんと装着されているし特に問題はない。むしろ、狙いどおり綺麗に貫通していて感心するほどだ。
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