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「ごめんね! 俺、一生を誓った人がいるから!」
そう言って、智也の肩を抱いてきたのだ。
たちまち黄色い悲鳴が飛び交う。智也はぎょっとして目を見開いた。
「はああっ!? お、おい、ハル!」
「行こ、智也っ」
慌てて声を張り上げるも何も意に介さず、陽翔はニコニコとするばかりだ。
そのまま智也は引き摺られるように連行され、あっという間に正門の外まで連れ出されてしまう。
ようやく立ち止まると、陽翔が声を上げて笑い出した。
「あははっ、みんなの顔見た? すっごく驚いてたよね」
「な、なんつーこと言うんだよお前! 驚くどころじゃねーだろ!?」
「だって、智也と付き合ってること言いたくなっちゃったんだもん。どうせもう会わないだろうし」
「いや、同窓会に参加することになったら会うだろ」
あっ、と陽翔が声を上げた。すっかり忘れていたという顔をしている。
「まあ、その場しのぎの冗談だと思ってる人がほとんどじゃないかな。もし信じてたとしても、そのときは見せつけるまでっていうか」
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