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「見せつけんのかよ……」
呆れ気味に呟けば、陽翔はにっこりと笑みを浮かべた。こちらの手を取って指を絡めると、
「当然でしょ。俺は智也のことが大好きなんだから」
臆面もなく言うものだから参ってしまう。しかし、それが嬉しくて堪らなくなる自分もいて――智也はふっと口元を緩めると、絡まる指先に力を込めた。
「ハルは俺のものなんだ、って知らしめるのも悪くねーな」
そう言って、手を繋ぎながら歩きだす。
一年後、五年後、十年後……何十年経っても、こうして一緒に歩んでいけたらいい。
これからどう生きていくのかなんて、今の自分には到底想像もつかない。けれど、きっと二人なら何だって乗り越えられるはずだ。
陽翔がいるというだけで、この一歩一歩がキラキラと輝いているように思えるのだから――。
(っとに、眩しいヤツ……)
智也は隣を歩く恋人の横顔を見つめ、そっと目を細めたのだった。
fin.
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