第1話 好きでごめんね(1)

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(ま、別にハルがいればいいし)  幼なじみとして、また親友としても陽翔の存在は大きい。  いつだって一緒だったし、転機が訪れない限り、きっとこれからもそうに違いないだろう――などと考えながら自分の席へと向かったときだった。教室の後ろの方で、陰湿な男子生徒の声が耳に入ってきたのは。 「結城ってマジキモいよな……男のくせにナヨナヨといい子ちゃんぶりやがって」  途端、智也の足が止まった。それから一息つくと、飲み終えたばかりの紙パックのジュースを発言者――ではなく、その横にあったゴミ箱めがけて勢いよく投げつける。惜しくも外してしまったが。 「あ、外した」 「ちょっ、何してんの智也。ちゃんと拾って入れなよ、もう!」  すかさず注意してきたのは陽翔だった。女子軍団に囲まれながらも、ちょうどタイミングよく目にしていたようだ。 「チッ、俺の母ちゃんかテメェは」  智也は頭を掻きながらゴミ箱の方に近づいていった。紙パックを拾いつつ、先ほどの生徒に対して睨みを利かせる。 「……勝手なことほざいてんじゃねェよ、クソが」
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