462人が本棚に入れています
本棚に追加
/168ページ
(ま、別にハルがいればいいし)
幼なじみとして、また親友としても陽翔の存在は大きい。
いつだって一緒だったし、転機が訪れない限り、きっとこれからもそうに違いないだろう――などと考えながら自分の席へと向かったときだった。教室の後ろの方で、陰湿な男子生徒の声が耳に入ってきたのは。
「結城ってマジキモいよな……男のくせにナヨナヨといい子ちゃんぶりやがって」
途端、智也の足が止まった。それから一息つくと、飲み終えたばかりの紙パックのジュースを発言者――ではなく、その横にあったゴミ箱めがけて勢いよく投げつける。惜しくも外してしまったが。
「あ、外した」
「ちょっ、何してんの智也。ちゃんと拾って入れなよ、もう!」
すかさず注意してきたのは陽翔だった。女子軍団に囲まれながらも、ちょうどタイミングよく目にしていたようだ。
「チッ、俺の母ちゃんかテメェは」
智也は頭を掻きながらゴミ箱の方に近づいていった。紙パックを拾いつつ、先ほどの生徒に対して睨みを利かせる。
「……勝手なことほざいてんじゃねェよ、クソが」
最初のコメントを投稿しよう!