第1話 好きでごめんね(1)

1/4
454人が本棚に入れています
本棚に追加
/168ページ

第1話 好きでごめんね(1)

「こらぁ! ハルをイジめんなーっ!」  幼少の頃から、坂上智也(さかがみともや)は喧嘩っ早い性格をしていた。というより、そうならざるを得なかったのだ――大切な友人を守るために。 「だいじょうぶか、ハル」  智也の背に隠れて泣いているのは、《ハル》こと結城陽翔(ゆうきはると)。  同い年の二人は物心ついたときからの仲で、家が近所だったこともあり、家族ぐるみでの付き合いだった。  陽翔は体が大きいくせに引っ込み思案なため、クラスメイトの男子たちに意地悪されてはよく泣いていた。そんな彼が放っておけなく、ことあるごとに智也は果敢に守ってきたのである。 (ハルのことは、おれがまもってやらねーとっ)  今となっては懐かしい思い出だ。当時は陽翔に対して、純粋にそのような感情を抱いていたのだが、高校生にもなると周囲の目も変わるもので――。
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!