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第1話 好きでごめんね(1)
「こらぁ! ハルをイジめんなーっ!」
幼少の頃から、坂上智也は喧嘩っ早い性格をしていた。というより、そうならざるを得なかったのだ――大切な友人を守るために。
「だいじょうぶか、ハル」
智也の背に隠れて泣いているのは、《ハル》こと結城陽翔。
同い年の二人は物心ついたときからの仲で、家が近所だったこともあり、家族ぐるみでの付き合いだった。
陽翔は体が大きいくせに引っ込み思案なため、クラスメイトの男子たちに意地悪されてはよく泣いていた。そんな彼が放っておけなく、ことあるごとに智也は果敢に守ってきたのである。
(ハルのことは、おれがまもってやらねーとっ)
今となっては懐かしい思い出だ。当時は陽翔に対して、純粋にそのような感情を抱いていたのだが、高校生にもなると周囲の目も変わるもので――。
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