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おじいちゃんからの電話
「久しぶりだな優空、元気だったか。会いたかったぞ」
かかってきた電話を取ると、祖父の声が優しく耳に響いた。
私は驚いてスマホを握り直す。
「おじいちゃん?!」
「明後日12日、会えないかね?」
「明後日?いいよ」
「じゃあ、正午12時でどうだい?シルバースターホテルのフロント前で」
「分かった。あ、おじいちゃん、おばあちゃんも来れる?」
ふっと言う微かな笑い声が聞こえた。
「行くに決まってるじゃないか。婆ちゃんも優空に会うのを、楽しみにしてるんだから。待ってるからな、優空」
夏休みに楽しい約束が出来た。
なんだか、ワクワクする。
「優空ー。早く起きなさい。まったく、夏休みになったからっていつまでも朝寝しないでよ」
階下から、母が起こしにやってくる。
暑くて眠り辛かったから、もう少し寝ていたいんだけどな。
ベッドに半身を起こして、カーテンを開く。
夏の朝日が眩しい。
窓を開けると、モワモワした湿った空気が入ってきた。
今日も湿度が高そうだ。
「優空、あなた、夏休みの予定出しておいてよ。お盆だから部活は無いの知ってるけど、塾とか、バイトとか。あるでしょ。お母さん、優空に大事な話があるのよ。時間を取って欲しいわ」
母に夏休みはないらしい。
私に話し掛けながら、仕事に行く準備をしている。
「うん。分かった。お母さん、今日休みで予定ないから晩御飯、私が作るね」
母が嬉しそうな笑顔を見せる。
「わぁ、助かるわ。じゃあお母さん、優空特製のカレーライスがいいな」
「オッケー」
家事を私に任せられる日と知って、母は嬉しそうに仕事に出かけた。
冷蔵庫から、冷えた牛乳と無糖コーヒーを取り出す。
グラスにの1/3にコーヒー、その後牛乳を注ぐ。
お手製アイスカフェオレ。
ただ、注いだだけだけど。
そして、おじいちゃんとの約束を考えた。
12日って、明後日か。
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