総格39大吉、家運34大凶の女、店を出す

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 真新しい木目調のカウンターを指の先でそっと撫でてみる。  昨日施してもらったばかりのピンクベージュのネイルの先では、控えめなラメがキラキラと揺れている。  事務所回りの備品は極力中古品で揃えたけれど、お客様の目につくカウンターや、二畳程あるお見合いブースの家具類は思い切って新品を購入した。  占いの店に良くあるように暗くて仰々しい感じではなくて、明るくてナチュラルな感じで。  当然、結婚相談所を併設しているから、というのもあるけれど、私はいつも通りの雰囲気の方が占いに集中できるのだ。  極力外部からの刺激を遮断して占いに集中するのが本当は良いのかもしれないけれど、私は今目の前にある情報も全て取り入れて占いをしたい。    トートバッグから、茶色い毛をしたコロンと可愛らしいぬいぐるみをそっと取り出した。  何となくカウンターの後ろにある棚の上に置いてみる。  私は32歳にもなってぬいぐるみが大好きだ。  でも、アイツにプレゼントしてもらったものや一緒に買ったものは、思い出したくもない過去と共に全部処分してしまった。  最終的に手元に残ったのは、この小さなカピバラ一体のみ……。  ピンクベージュの指先でツンツンと突いてみると、それは何となく喜んでいるように見えた。    結局、お店を立ち上げるのに退職金も慰謝料もほとんど注ぎ込んでしまった。  でも、そのくらいが丁度良いのかもしれない。  退路は自分で断ち切って、前に進むしかないのだ。  私は一人「良し!」と気合いを入れると商売道具である水晶玉を取り出した。
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