総格39大吉、家運34大凶の女、店を出す

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優香(ゆうか)、開店おめでとう!」  涼やかな声がしたかと思うと、サラサラストレートの黒髪美人が店の入り口から顔を覗かせた。 「仁美(ひとみ)来てくれたんだ!」 「うん。明日のオープンは子供達が学校お休みで多分これないから。1日早いけど。はい、これ。仕事の合間にでも食べてね」  そう言って仁美が手渡してくれたのは、バームクーヘンが美味しいことで有名な焼き菓子店の紙袋だ。 「うわあ、ありがとう!」  私がアイスコーヒーを真新しいグラスに注いで戻ってくると、店内をキョロキョロと見回しながら仁美は声を上げた。 「でも凄いよね。まさか優香がお店を始めるなんて思ってなかったよ」  竹道仁美(たけみち ひとみ)は高校時代からの友人だ。  柳田(やなぎだ)姓の家運31画大大吉を活かせなかった私とは違い、仁美は家運25画吉を大いに活かし、二人の可愛い子供と優しい旦那さんとで素敵な家庭を築いている。 「ふふふっ。思わぬ臨時収入があったからね」  私がニヤリと笑ってみせると、仁美はホッと息をついた。 「でも、良かった……。優香、落ち込んでるんじゃないかと思ってたから……」 「あんなクソ男、こっちから願い下げだっつーの。浮気相手の女にのし付けてくれてやるわ」 「うわー、逞しいなー」 「貰えるもんは、しっかり貰いましたから」  私がそう言うと、仁美は「さっきのは褒め言葉だからね」と笑ってみせた。
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