総格39大吉、家運34大凶の女、店を出す

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 あれから何度も水晶を覗いてみるけれど、タワシが視えたことはない。  やっぱりあれは悪運の啓示だったのかな……。  私は水晶をカウンターの上に置くと、静かに手をかざす。    明日の開店。  新しい仕事。  色々と上手くいくだろうか……。  こんなに漠然とした占いをしたことはなかったけれど、何となく水晶の力を借りたいと思った。  今までと変わりなく、ただ室内の灯りを返している球体の表面を優しく撫でていく。  逆さに歪んで映って見える店内。  新しく買った白木調の椅子に、真っ白な壁。  開け放った出入り口の向こうに見えるのは、見慣れた『rarat』のフロア。  動いて見えるのは、フロアを歩く人々の姿だろう。  いや、違うな……。  何か茶色いものが真ん中辺りでモヤモヤしているように見える。  それは茶色い繊維状のものに覆われていて……。    タワシ、とも違う。  下に向かって4本突き出ているものは、短い手足……。  大きな鼻と小さな耳。  クリクリとした黒い目がこちらを見つめている。  それは、硬そうな毛の生えた生き物で……。  一番似ているものは……。  私がそう思った瞬間、辺りは眩い光に包まれる。  その眩しさに思わず目を閉じると、どこからか可愛らしい声が響いた。 「カッピーン!」
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